プリント基板の試作は、量産時に問題や不具合が発生しないよう、あらかじめ品質・性能をチェックするために必要です。具体的には、動作確認・熱設計の妥当性・実装可否など、量産前に検証すべき項目は多岐にわたります。本記事では、試作実装と量産実装の違いから、試作依頼に必要なデータ、納期の目安、さらに試作を依頼する業者を選定する際に確認すべきポイントについてまとめました。
試作実装と量産実装の大きな違いとして、製造方法と製造時間、コストが挙げられます。
量産実装では全自動機によって行われることが多いですが、試作実装では1枚から対応することも多く、手作業や半自動機を活用して製造するのが特徴です。
試作実装では手作業で行われることから、全自動機での量産実装よりも1枚あたりの製造時間が長い傾向にあります。
また、1枚あたりの製造時間が長くなるということは、その分コストもかかってしまう場合が多いです。
量産実装に比べると試作実装は手間がかかり、コストもかかりやすいですが、費用対効果の観点では、量産ロット数が大きいほど、1枚あたりの試作コスト負担は相対的に小さくなるため、試作を行う意義が大きくなります。逆に、試作を省略して量産に入ってしまった場合、量産段階で不具合が発覚すると、設計変更・再製造にかかるコストは試作費用の何倍にもなるリスクがあります。そのため、量産するためにも事前に試作実装を行うことが大切です。
試作依頼をする際に必要なデータとして、「ガーバーデータ」があります。
ガーバーデータとは、基板製造に欠かせない設計データであり、配線やドリルの位置、サイズ、レジスト、シルクなど、外形に関する数値をまとめたものです。提出前には、ファイルの層構成に漏れがないか・最新版のデータになっているかを必ず確認しましょう。
部品表は、基板に実装する部品の種類やメーカー名、数量、型番、配置情報などを明記した資料です。
部品表に記載されている部品は、ガーバーデータの設計内容と一致していないと、正しく基板を実装できないため、注意が必要です。よくあるミスとして、設計変更後にBOMの型番が旧版のままになっているケースがあります。データ提出前に、ガーバーデータとBOMのバージョンが一致しているか確認することが重要です。
実装指示書は、個別に実装方法を指示したい場合に作成・提出する書類です。
フォーマットは任意であり、実装方法に関する内容を指示書から指定します。
口頭・口伝えでの説明は認識齟齬の原因になりやすいため、特殊な実装箇所がある場合は必ず書面で残すことが重要。ガーバーデータや部品表などと共に、実装指示書も準備しておきましょう。
試作基板の対応納期目安は各業者や基板の種類によって異なります。
通常であれば3日~15日程度の納期が目安となりますが、特急納期なら1~3日程度早く納期を設定できます(※)。
なかには最短1日で対応できる業者もあります。
試作基板の納期をできるだけ短縮させたい場合は、設計仕様や資料などをできるだけ早く提供し、早めに納期に関する相談をすることが大切です。
また、基板をただ作るだけの業者よりも、専門の試作基板サービスを用意していたり、設計から実装までトータルで対応できる業者を選定したりすると、納期の短縮につながる場合もあります。
さらに、開発のリードタイムが発生しやすい要因に、部品調達で時間がかかることも多いです。
そのため、入手性が悪い部品は事前にピックアップし、入手が難しければ代替品を選定してみましょう。部品調達を業者に委託できる場合は、自社での調達と並行して業者にも依頼することで、調達リードタイムを重複させずに済み、納期短縮につながるケースがあります。
試作基板を業者に依頼する際には、まずその業者が対応できるロット数と、部品調達の対応範囲を確認することが必要です。
例えば試作基板を1枚だけ作りたい場合、1枚でも対応できる業者を探す必要があります。
また、部品調達も依頼したい場合は対応範囲を事前に確認することが大切です。
試作基板を依頼する際は、あらかじめ対応できる部品や対応可能な工法の範囲なども確認しておくと安心です。
各業者によって導入している設備や技術などが異なるため、ヒアリングの段階で使いたい部品リストや工法を書面で共有し、「対応可能か」を明示的に確認しましょう。口頭でのやりとりだけでは、発注後に「対応できない」と判明するリスクがあります。
量産を見据えた試作基板を実装したい場合は、試作から量産への移行対応が可能な業者を選定しましょう。
量産への移行対応が可能で、実績もある業者であれば、試作段階から量産性を考慮した設計を提案してもらえる場合もあります。過去の試作→量産への移行実績を事前に確認しておくと、業者の対応力を判断する材料になります。
基板実装の試作依頼では、データや部品、納期を事前に整理することでスムーズに進めやすく、場合によっては納期の短縮につながる場合もあります。
特に部品の手配は自社で行うのか、業者に委託するかで納期やコストに大きく影響する可能性が高いです。
例えば特殊な部品を必要とする場合、部品が揃わなかったり断られたりするケースもあるため、試作依頼する業者が調達支援にも強い業者かどうか確認しておくと良いでしょう。
このメディアでは、基板実装の小ロット製造・試作から、調達まで対応してくれる基板実装メーカー・業者を紹介しています。
信頼できる依頼先を探している担当者の方は、ぜひご参考ください。
基板実装の依頼先選びは、自社の課題に合う体制や技術を持っているかどうかが最大のポイント。ここでは試作スピード、部品調達力、実装難易度への対応で、それぞれ強みを持つ3社を紹介します。
仕様が固まっていなくても、Web上の標準化されたメニューを選択するだけで実装条件が確定。1枚から依頼でき、最短即日で基板試作・製造まで実行(※1)。高密度設計の代行にも対応可能。
独自の異種面付工法を採用しており、フィルムやシルク版の保管を行わないため、イニシャル費用の無料化を実現。超特急でも「1枚だけ作ると割高になる」という構想試作のネックを解消できる。
日・中・マレーシアでの最適地購買と代替提案により、調達困難な多品種生産やEOL案件に対応。生産予定に応じた1か月分の部品ストックも可能なため、安定供給と在庫負担の軽減を両立できる。
メキシコ、ベトナム、中国、マレーシアに生産拠点を持ち、調達・組立・納品も対応。北米・アジア圏で輸送コスト削減とリードタイム短縮を両立したサプライチェーン構築も目指せる。
自動実装ラインでは対応できない、0.3mmピッチの極小WLCSPや高難度BGAなどといった「高密度実装」に特化。「設計はあるが試作・実装を断られた」といった先端開発も対応できる。
高密度基板でも、年間約3,000件の実績があるリワーク技術(※2)により、周辺部品に熱ダメージを与えないピンポイントな「後付け実装」が可能。高価な試作基板の全損リスクを低減できる。