EMSの導入を検討している方向けに、EMS受託製造サービスの具体的な流れについて紹介しています。EMSでは、製品の生産プロセスをすべて委託することができますが、ここでは具体的にどのような流れで製品が提供されるかについて詳しく解説。そのため、製品設計から検査・品質管理までのプロセスがどのように行われているかについて把握することができます。
※各STEPをクリックすると詳細が表示されます。
依頼側:Webサイトや紹介を通じてEMS企業に連絡します。作りたい製品の概要、課題(コスト・納期・品質など)、数量や予算感を共有します。
EMS側:専門の営業・技術担当がヒアリングを行い、詳細情報交換の前にNDA(秘密保持契約)を締結します。
ポイント:NDAにより、依頼側は設計情報・機密情報を安心して開示できます。
依頼側:製品に求める機能、性能、デザイン、対応規格などを整理し、要求仕様書として提示します。図面や回路図があれば合わせて共有します。
EMS側:要求仕様を基に技術的な実現可能性を検討し、部品選定方針・製造スケジュール・概算見積を作成します。
ポイント:ここでのすり合わせ精度が高いと、後工程の手戻りを大きく防げます。
依頼側:EMSが作成した設計仕様書(回路図・基板レイアウト・筐体設計・部品表など)を確認・承認します。
EMS側:要求仕様に基づき、ハード(回路・基板・筐体)およびソフト(ファームウェア)の設計を実施。製造性とコストを考慮したDFM(量産性設計)も提案します。
ポイント:依頼側は「専門的な設計内容」よりも「想定通りの使い勝手か」で確認することが大切です。
依頼側:試作品の性能・仕様・デザイン・操作性を評価し、改善点をフィードバックします。
EMS側:設計データを基に部品を調達し、1台〜数台の試作品を製作。社内動作確認後、依頼側へ納品します。
ポイント:量産前にここで課題を完全に洗い出し、必要に応じて複数回の試作を繰り返します。
依頼側:最終試作を承認し、正式に量産開始の発注を行います。
EMS側:部品の一括調達、生産ラインの立ち上げ、製造手順書・検査治具の作成など、量産に必要な準備を整えます。
ポイント:この段階では設計変更が難しく、コスト増につながるため、仕様はSTEP4までに固める必要があります。
依頼側:生産状況の報告を受けたり、必要に応じて立ち会い検査を行ったりします。
EMS側:SMT/THTでの基板実装、筐体組立・配線、そしてAOI・ICT・ファンクションテストなど、多段階の検査で品質を保証します。
ポイント:量産中の不具合情報をフィードバックし、継続的に品質改善を行います。
依頼側:納品後の最終検査や、市場投入後の保守・修理体制を整えます。
EMS側:納品後も、修理・メンテナンス、生産中止部品の代替提案など、長期的なアフターサポートを提供します。
ポイント:ライフサイクル全体で伴走できるEMS企業かどうかは非常に重要な選定基準です。
EMS受託製造を進めるにあたって、まずは自社で検討している製品の概要を整理しておくことが重要です。用途・ターゲット市場・想定ユーザーなどの基本情報に加え、解決したい課題(コスト削減、品質向上、短納期対応など)や現在抱えている技術的な問題点を明確にしておきます。
また、量産数量の目安や希望納期、予算感があると、EMS側が具体的な検討に進みやすくなります。詳細情報を開示する前に秘密保持契約(NDA)を結ぶため、開示が必要な資料や既存製品サンプルを準備しておくとスムーズです。
お問い合わせ後の初回ヒアリングでは、EMS側が製品の構想・課題・要件をより深く理解するために、技術担当者を交えて具体的な質問を行います。機能要件、想定コスト帯、必要な規格対応(電気安全、EMC、環境規制など)、製造ロットの考え方など、開発全体の方向性を定めるための情報を整理します。
また、詳細な図面や回路情報を扱う必要があるため、多くの場合は最初の打ち合わせのタイミングでNDAを締結します。これにより、依頼側は安心して技術情報を共有でき、EMS側は適切な見積もりや工法選定につなげることができます。
EMS受託製造業者は、クライアントの要求事項や契約内容に基づき、ハードウェアおよびソフトウェアの設計支援を行います。電子機器製品の設計においては、製品に求められる性能や機能はもちろん、材料や形状、サイズなどが重要となるため、要件定義作成からスタートすることが一般的です。
要件定義の作成と並行して、回路図・基板レイアウト・機械設計・ファームウェア・部品リスト・製品仕様書などを含む設計仕様書を作成します。
製品仕様や機能などを明確にしたプロトタイプを作成。ソフトウェア・ハードウェアともに細かく作り込み、確認した後に試作作成に移行することができます。また、生産がスタートするとクライアントからの製品設計変更の指示は困難となるため、入念なすり合わせが必要となります。
製品設計の次の段階が製品生産に必要な部品の調達となります。電子部品や材料をサプライヤーから調達し、適切に品質管理を行うことが必要です。具体的には、半導体や電線、コネクタなどの電子部品のほか、板金、機構部品などを調達。ちなみに、部品は国内にとどまらず世界各地から調達されることもあります。
部品調達においては、仕様や外観、動作や数量などを細かく確認し、信頼できるサプライヤーを見極めることも大切。また、この段階で部品の一括調達により、コストを抑えることも可能です。
さらに、価格だけでなく、品質や納期を考慮して、クライアントのニーズに合った部品をスピーディーに用意したり、予算内で在庫を確保したりすることも求められます。
製品の生産・製造に必要な部品調達が完了したら、電子回路を構築するためにプリント基板に電子部品を実装する段階です。電子部品の実装には、次の2種類の方法を用います。
極小ロット製造の場合は、手作業で行うこともありますが、主に専用装置など、高度な自動化が施された設備を活用して行います。また、実装方法を見極めることで多種多様な電子機器への実装が可能です。
電子機器製品の組立においては、基板実装にともない必要な機器組立のほか、配線をつなげる作業などを行います。機器組立後は、部品間の接続確認を行い、必要に応じて調整を実施。また、正常に動作するかどうかをテストします。さらに、テストで不具合がある場合は、正常に動作するまで調整を繰り返すことにも対応可能です。
完成品組立は、製造した各部品から完成品を組み立てる工程です。配線や接着、ネジ締めのほか、必要に応じて絶縁・防湿などの加工が施されることにより、要件定義にそった製品を完成することができます。
機器組立、完成品組立の工程では、正常動作のためにテストや調整が繰り返されます。それでも、最終工程として、検査・品質管理を設けて、実際に完成した製品の部品や性能の最終チェックを行うのが一般的です。
製品の外観やサイズに問題はないか、機能や電気系統に異常や問題はないかなど、厳しく検査します。また、品質管理においては、品質の維持・向上に必要な目標の設定、品質保証体制の整備などを実施。さらに、ISOなどの国際規格の認証を取得し、品質や信頼性をアピールすることもあり、総合的な品質マネジメントシステムのほか、製品分野に特化した規格もあります。
製品が最終検査を通過すると、量産に向けた正式な発注を行う段階に入ります。依頼側は、販売計画に基づいた初回ロット数や必要な納期、物流方法などを確定させる必要があります。
また、量産後の市場投入に向けて、ユーザーマニュアルやパッケージ仕様、ラベル表示(技適・CE・FCCなど)の最終確認も重要です。加えて、製品に万が一トラブルが発生した際の連絡フローや、修理・交換対応の方針を社内で整理し、EMS側とも共有しておくとスムーズです。
量産体制に移行する際は、EMS側が用意した生産ラインの構成、部品の調達状況、製造リードタイム、検査工程の最終仕様について打ち合わせを行います。また、長期供給に向けた部品のEOL(生産終了)リスクや、代替部品の候補、将来的なコスト調整方針なども確認対象になります。
出荷後については、保守・修理の対応範囲、保証期間、初期不良発生時のリプレイス手続き、問い合わせ窓口の役割分担など、アフターサポートに関する実務的な取り決めを行います。これらを明確にしておくことで、製品ライフサイクル全体を通して安定した運用が可能になります。
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